
2026年4月を迎え、新年度がスタートしました。国立病院機構沖縄病院は、基本理念である「患者様の立場を尊重し、高度で良質な医療を提供します」のもと、肺がん、神経難病、緩和医療、結核、地域包括ケアを中心に診療を行ってきました。
当院の前身は、1948年に開設された金武保養院です。1978年には金武町から宜野湾市へ移転し、国立療養所沖縄病院として結核250床、筋ジストロフィー病棟80床を有し、政策医療の中核を担ってきました。2004年の独立行政法人化以降は、2006年に緩和病棟、2019年に地域包括ケア病棟を開設し、新型コロナウイルス流行期には地域包括ケア病棟を重点医療機関として運用しました。
近年の高齢化に伴い、がん、認知症、パーキンソン病などの疾患が増加する一方、少子化や働き方改革の影響により医療者の確保が難しくなるなど、医療を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした中で、適切な診断・治療と、安心して療養を続けられる体制の整備は、これまで以上に重要性を増しています。
当院では、肺がん診療と緩和医療に注力しており、各医療機関からの紹介により院内がん登録数が増加しています。特に肺がんでは、遺伝子情報を活用した診断・治療に最新の知見を取り入れ、2023年4月に導入したTrueBeamによる集学的治療や緩和治療が成果を上げています。放射線治療は一般的に外来で行われますが、当院では遠方から来院される患者さんにも対応できるよう、一般病棟や緩和ケア病棟での入院治療も行っています。
また、脳・神経・筋疾患の診療では、2024年に軽度認知症に対する新薬を導入し、抗体医薬やHALを用いたリハビリテーションも継続しています。さらに、沖縄型神経原性筋萎縮症という超希少疾患に対しては、治療につながる臨床研究を進めています。
政策医療として担ってきた結核診療については、罹患率の減少に伴い規模を縮小しつつ継続しています。また、肺がんと神経疾患に特化した医療体制を強化するため、2026年度から地域包括ケア病棟を閉じることとしました。
一方、世界情勢の不安定化により、薬剤や医療資材の供給不足が懸念されるようになっています。これまでのように潤沢な医療環境が維持できない可能性もありますが、生成AIをはじめとする技術革新は診療の現場にも広がりつつあります。
「手の中にあるもの」をいかに活用し、変化に適応していくか。
これが、これからの医療に求められる姿勢だと考えています。
2026年4月1日 院長 大湾勤子

